text : STAR OCEAN Till the End of Time

[ icecal edge ]


俺には、もう誰もいなかった。
俺を満たしてくれる存在。
俺を認めてくれる存在。
俺と、共に歩んでくれる存在。

そんな空間に慣れてしまったのはいつだったか。
もう俺は、それさえも思い出せない。
いや、思い出せなくてもいい。
思い出せたところで、今のこの空間が変わるものでもない。
もう、いいんだ。
独りには、慣れてしまったから。










「何度も言わせるな。さっさと国へ帰れ、阿呆」

彼が修練場に到着したとき、彼の一団――「漆黒」はほぼ壊滅状態であった。
別に特別な感情が現れることもなかった。
自分と敵対する男に足止めを食らわされたことにも、部下が無残な姿でいることにも。
そして、侵入者に対しても。
誰も彼を満たすことはない。
それが分かっているから。

「その左手のガントレットは……!!
『歪みのアルベル』か!?」

自分を見上げてくる女が叫んだが、そんなこと、彼――アルベルにはどうでもいいことだった。
その者達がザコであるという事実は変わらないのだ。

「それがどうした。
俺は弱い者イジメをするシュミはないんだ。
気が変わらないうちにさっさと消えろ」

「見逃してくれるっていうのかい?『漆黒』団長が何故――」

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。別にここで死にたいというのなら、あえて止めはしない」

目線を鋭くして見上げてくる者達を見ても、彼の感情に波は立たない。
闘争心というものも。
分かっている、あいつらが、自分を満たしてくれるほどの強さを持っていないと。
ならば、早くここから消えろ。
自分を満たしてくれないのなら、存在価値などないのだから。

「ネルさん」

蒼い髪の男が、いきり立つ真紅の髪の女を呼び止める。

「行きましょう。見逃してくれるというのなら、それに越したことはないですから」

ちらりと彼はアルベルの方を見る。
彼の目にも闘争心は表れていなかった。
ざわり、とアルベルの中に何かが巻き起こった。

(何――?)

彼はその答えを探そうと己に問いかけた。
だが、明確な答えは何も見つからなかった。

(どうせ、あいつらが目障りなだけだ――)

そう。
誰も自分に敵いはしない。
そんなやつらに用はない。
この妙な感情は、いつも自分の中に溢れている感情だ。

(誰も、俺なんて――)










腹部に強い衝撃が走る。
いくらアルベルといえ、これほどまでに短時間に多くの打撃を受けて平気でいられるということはなかった。

鎖の音だけが耳元に残る。
足掻く気にはなれなかったが、鎖を受けるたびに身体が弾むのだから仕方ない。
鎖の衝撃、音、身体に赤く痕を残す、揺れる身体、壁に打ち付けられ――

「手を抜くな」

もうほとんど音を認識できない彼の耳に、低く太い声がかすかに入る。
その男の声に、鎖の鞭を持つ男がにんまりと笑う。

振り上げられた手の先のものをアルベルは見つめていた。
すでに意識は朦朧としている。
その頭で考えることは。

(結局は、この男も俺を満足させることはなかった――)

実力[チカラ]は認めていた。
空行騎兵『疾風』を率いるほどの男だ。
戦士として、その実力が無ければその地位にいることなどできはしない。
だが――

「どうした、アルベルよ。
弁解したいのならしてみよ。
どういう理由があって反逆者のような真似をした?」

アルベルは、自身の顎を持ち上げてきた男――ヴォックスを、焦点をあわせづらい目でやっと捉えた。
その顔には勝利を確信したような笑みが浮かんでいる。

(クソが――)

結局、ヴォックスはこのような勝利を選んだのだ。
正々堂々と勝負するのではなく、傷口をつつくような真似をして。

アルベルは反逆罪に問われていた。
カルサア修練場で敵国シーハーツの者をみすみす逃し、ベクレル鉱山では銅鉱を持ち去られた。
『漆黒』の団長ともあろう者が、二度も敵の者を逃すことがあろうか。
これは反逆の意があってのことではないか。
――ヴォックスはそう主張していた。

事実、カルサアでは自ら敵を逃がした。
だが、それは全てが自分自身の問題ではない――アルベルはそう考えていた。
自分が嫌われているということは知っていたし、副団長が己の手柄のためにヴォックスと手を組んでいたということも知っていた。
あそこで敵を逃したのは、副団長の弱さのせいだ。
あの時、足止めをされずに修練場に向かえていたなら、自分は敵を見逃してやるなどという気分にはならなかったかもしれない。
副団長がもっと強かったならば、敵を逃がすということも無かった。
自分は、自分の心のままに動いた。
だから、誰からも咎められる筋合いなど無い。

しかし、ヴォックスはこれを見逃さなかった。
次は無い、と警告を発した。
気に入りはしなかったが、もちろん次があるとは思っていなかったからその場は頷いておいた。
そして、ベクレルへ向かった。

 ――弱い者イジメをする趣味は無いんだ。

同じヤツだった。
名を、フェイトといったと思う。
蒼の髪、碧の瞳がアルベルに向かう。

ざわり。

戦う前から自分に向けられた瞳の意味を、彼はずっと考えていた。
心の中に波が立つ。
何故そんな目で俺を見る?

散る火花、巻き起こる衝撃、乱れる心。
邪念が入ったからだろうか、彼は負けていた。
多勢に無勢。
確かにそうだったが、アルベルはこれまでもそんな中を勝ち抜いてきた。
戦うことが自分の存在意義に思えていた。
勝ち続けることが存在意義、それだけがアルベルを支えていた。
だから、負けることなど考えもしなかったが、負ける時は死ぬ時だという覚悟はできていた。

それなのに。

 ――うあぁぁぁーーーッッ!!

彼らはアルベルの命を奪うことは無かった。
存在意義を奪い、死なせることさえしなかった。
ならば、自分はどうしたらいいんだ?

放心状態で空を見上げる彼の元に、黒い影が舞い降りた。
竜の騎影――ヴォックスだった。

「自分が何をしたか分かっているのだろう?
儂が出陣の前に言ったことも覚えておろう。
さぁ、どうした」

途切れ途切れに聞こえる声。
内容は分からないでもない。
だが、アルベルは何を言う気にもならなかった。
もう自分には何も無い。
打ち砕かれたプライドは、新たに生きる目的を見出すことも無かった。
そしてヴォックスでさえも、自分を満たしてくれるような者ではなかったのだ。
言い訳をして何になる。

押し黙ってヴォックスを見つめた。
勝ち誇った目。
だが、それを見てもアルベルの心に波風は立たなかった。
心に現れる違和感は、あの目だけがもたらすものだった。

(クソが――)










戦況が激しくなったらしい。
蔑むように見物にやってくるヴォックスの姿も全く見られなくなった。
しんと静まる地下牢。
最重要受刑者の捕らえられる牢だから外の喧騒が聞こえるということは無いが、それにしても静かな気がした。
気配が薄い。
賑わっていたはずの城も、戦死者が出ると共に閑散としていく。
この上で作戦会議に参加しているときでさえ感じていたこと、こんな地下でも感じられるようになったのか。

冬の地下牢。
ただでさえ凍えるアーリグリフの冬に、明かり程度の火しかない地下牢は体力を奪う。
このまま衰弱死を狙うのか、とアルベルは考えていたが、もう半分どうでもよくなっていた。

カツン、カツン――。
冷えた空気に足音が響く。
複数、か?どうせまたヴォックスが嘲笑いに来たのだろう。
生憎まだ俺は生きている。もう相手をする気も無いがな……。
意識はまた遠のいていく。
鍵を開ける音、目の前にやってくる人物――興味など無い。

「小僧。ほれ、起きろ」

揺れ動かしてくる人物。
ヴォックスでは、ない。

「……ジジィ……。
ハッ……何の……用だ……。
ジジィまで、俺を……笑いに来たってのか?」

アルベルの瞳が捉えたのは『風雷』団長ウォルター。
相変わらずだの、と笑う顔にはどこか蔭りが見えた。
これも戦況の厳しさのせいか――もしや、自分がこうしていた間にアーリグリフに何か悪いことが起こったのか?
アルベルの思考をよそに、ウォルターはいつものように――アルベルに優しく諭すように、静かに言った。

「お前には特別任務が与えられたのじゃよ。
この者達とともにウルザ溶岩洞へ向かうという任務がな。
それさえ終われば無罪放免じゃ。
どこへなりとも行くがよい」

ウォルターが振り返った先には四つの人影。
その中の三つには見覚えがある。
未だ靄がかかっている思考、それを探って辿りついた先の答えは――

「そいつらは――!!
敵じゃねぇか!何でこんなヤツらと」

カルサアで見逃した、ベクレルでやられた――蒼い髪、碧の目。
俺を見つめる――どこか冷ややかに。

ざわり。

(また、だ――)

もう、彼らを見下しているわけではない。
なのに、湧き上がるこの感情は一体――。

「もはや彼らは敵ではない。シーハーツとは現在休戦中じゃ」

アルベルが考えていることに気づくはずもなく、ウォルターは話を続けた。

「フン。あの戦好きがよく承知したな」

あそこまで勝利に拘る男が。
勝つためならば手段も選ばない男が。
よくもまぁ――そう考えると笑いがこみ上げてくる。
だが、この気持ちも、ウォルターの一言で立ち消えた。

「ヴォックスは死んだよ」

「……何?――そいつらか」

「いや。
まぁ、戦っていたには戦っていたがの。
他の存在の攻撃を受けて、死んだ」

「俺の知る限り、ヴォックスのヤローを倒せるのは俺かそいつらだけだったと思うが?
この世界に俺達以上の力を持つヤツなんて――」

「そう、異世界の者じゃ」

表情も変えずに馬鹿げたことを言うウォルターに、アルベルがその言葉を聴いた瞬間抱いた気持ちは、正直なところ、普段と大した差は無かった。
誰に対しても、嘲りしか浮かばなかった。
この時もそうだ。
違うといったら、その程度がいささか甚だしいというところか。
悪態をつくと、これまたウォルターは表情を変えずに言った。

「それが当然の反応じゃな。
儂とて未だに信じられぬ話じゃ。
無理に信じろとは言わん。
だが、現実に起こったのだから信じるしかなかろう」

「――マジ、なのか?」

「お前に嘘を言ってどうなる。
詳しくはこの者達に訊くがよい。
全てはこの者達からの情報じゃからの」

「証拠は。
信用したところで返り討ちにされちゃたまらねぇからな」

「返り討ちを恐れるような実力なら、こちらとて同行はごめんです。
足手まといはいりませんから」

抑揚の無い声は蒼い髪の少年から。
注がれる視線には熱さも冷たさもこもっていなかった。
さっきまでの冷ややかな視線よりも、どこか重圧があった。

「まぁ、そう言うでない。
証拠ならあるぞ。
空を飛ぶ『星の船』じゃ。
その目で確かめてくるがいい」

「――つまり、どうやってもそいつらと行かなきゃならねぇって言いたいんだな?」

温度の感じられない視線からアルベルは顔をそらせて言った。
跳ね返すどころか、受けきることさえできなかった。

ウォルターは頷いた。

「そうじゃ。伯爵級のドラゴンを捕らえて帰って来い。
おぬしの親父ができなかったことを、な」










巨漢がクリフ、シーハーツ隠密がネル、見覚えの無い蒼い髪の女がマリア、そして――

アルベルはペターニに来ていた。
寄り道に他ならないが、アーリグリフ王の使いとしてシーハーツの首都に行っていたのだから仕方がないといえば仕方がなかった。

いくら他人に興味が無いとはいえ、王にまでそうである、という訳ではない。
忠誠を誓ったからこそ騎士であるのだし、『漆黒』を任されている身だったのだから。
王も、それなりに自分を信用してくれていたのだろう。

王は、シーハーツの人間に心を寄せていたようだった。
そう、敵対していた人間を憎みきれていなかったのだ。
アーリグリフは負けた訳ではない、だが、勝った訳でもない。
アルベルは勝利しか知らない。
憎まれてもいい、勝利だけを知っていたい。

「――……一体何のつもりだ」

夜――。
アルベルはフェイトの枕元に刀を突き刺した。
疲れているのだろうか、ゆすっても起きようとしなかった。
ならば、殺気をこめて刀を突き刺せば――案の定、フェイトは目を覚ました。

「安心しろ。
寝込みを襲うなんてことはしない。
だが、油断はしないことだ」

ついて来い、とそれだけ残し、アルベルは部屋を出た。

街に灯った光は殆どない。
頼りになるのは月と星の輝きのみ。それでも地に自分の影がはっきり見られるほどの光はある。

淡く穏やかな光の中、すっかり街は寝静まっていた。
星の船の脅威に脅えながらも、目の前の戦争が終わったことに安堵している。
そんな雰囲気がどこか癪に障る。
ほんの一時前までの戦いは何だったのだ、そう問いたくなる。

「こんな夜中に呼び出して……一体何の用なんだ?」

民家もまばらな路地裏。
訝しげな表情を見せつつも、フェイトの顔からはアルベルの求めるものは見られない。
ポーカーフェイスなだけだろうか?
いや、これまで見てきた限り、怒ったり、困ったり、笑ったり、とその表情は豊かだった。

訊かなければ、分からないか。

「お前、俺が憎いか?」

ちらりとフェイトを窺うと、彼は呆気に取られたような顔をしている。

「何だよ、突然……」

「いいから答えろ、阿呆」

そうだな、と考え込むフェイトを横目に見ながら、アルベルは返ってくるだろう答えを予想していた。
そう、憎まれている方がまだ楽だ。
その方が、いつでも戦える。
憎んでいる、それだけで戦う理由になる。
しかし、フェイトの口から出てきたのは、それとは全く違っていた。

「そうでもないかな」

狐につままれたような顔をしたのは、今度はアルベルの方であった。

「何故。
俺はお前の仲間を傷つけ、殺そうとした。
そしてお前自身も……。
自分を殺そうとした人間を、どうして憎まずに……怨まずにいられる?」

「でも、それはお前の意思じゃない。そうだろ?」

戦争だったんだから、と彼は言う。
違う、と言いたかった。
しかし、フェイトの微かだが穏やかな笑みを見ては、それを言葉として吐き出すことはできなかった。

「確かにお前は戦いに関して恐ろしいほどの執着心を持ってる。
戦うことを自らの存在証明とする男だ」

だから、その場を奪ったコイツを憎んでいる。
アルベルは心の中で独白した。

「ひたすら強さだけを追い求めて……。
僕にはできないことだし、共感もできないけど」

そう、誰にもわかりはしないんだ。
俺の気持ちを理解するやつなんて、誰一人。
俺にはもう誰にもいない。
満たしてくれるヤツも。
所詮、コイツも俺を憎んでいなかったのだから。

「でも、そういう生き方があってもいいとは思うよ。
それに、お前はもう無意味に人を傷つけたりしないと思うしね」

「今にもお前を襲うかもしれないぜ。さっきみたいにな」

「大丈夫だって信じてるさ。それに――」

フェイトの目は笑っていた。けれど。

「襲ってくるようなら、返り討ちにしてやるから」

確かに冷たさを含んでいて。
直前までの彼の甘い考えに呆れてその場を立ち去ろうとしていたアルベルだが、金縛りにあったように動くことはできなかった。

さすがに夜は冷えるね、戻ろう――フェイトがそう言うのを、アルベルは頭半分で聞いていた。
踵を返して戻っていくフェイトの、その後姿をずっと見ていた。
隙は、一分も見当たらなかった。

道中の戦闘では、アルベルは目の前の敵を撃破していくだけだった。
他の戦闘メンバーに気を配ることもしなかった。
たった一時共に戦うというだけで、仲間だという意識はまったくなかったから。
そして、共に戦わなければならないという状況にイラついて、その気を晴らすために自分と戦いの中だけにのめりこんでいたから。
後ろで戦っているフェイトの方を見ることなどなかった。

後姿から、アルベルはフェイトの今の実力を感知していた。
ベクレルでのあの時よりも、格段に腕を上げている。
いや、腕だけではない、どこか一皮剥けたような。
外も内も、どちらも強くなっている。
あの時は3人を相手に敗れたわけだが、今度は1対1でも敵わないかもしれない――決して認めたくはないが。

「どうした、アルベル。宿に戻らないのか?」

何事もなかったかのように振り返るフェイトに、アルベルはまた一抹の怒りを覚えていた。
どうして、そのように接することができるんだ。
どうして、俺を憎んでくれないんだ、と。

 ――どうして俺は、あいつに憎まれていたいんだ?

その独白は、まるで憎んでくれと言っているようで。
アルベルは、その理由を心の中に探っていた。
初めは冷たい視線が強く刻まれていた。
そこから心の中は渦巻き始め、冷たい視線が自身の内に眠る熱い心を探り当てていた。

熱い心――いつの間にか失くしていた、追いかけたいと思う気持ち。

憧れるべき存在を失って、興味を持つ存在を失って、共感できる存在を失って――いろんなものを失って。
それでも強さを求め、自分の存在の意味を求め、『漆黒』の団長の地位に昇りつめた。
そこでは自分を唯一満たす「戦い」が繰り広げられていて、戦いの中でのみ自分を忘れられていた。
自分にはもう、戦うことしか残されていなかった。

しかし、どうして自分はそれほどまでに戦いに執着していたのか。
それは強い自分を求めていたからで。
強くなるには、強い相手と戦うことが一番だと自分は知っている。
その強い相手が、今自分の目の前にいはしないか。

憎んで欲しい。
そうしないと戦えない。
憎まれなければ、相手は本気を出して自分に向かってこない。
戦う理由が欲しい。
自分と戦ってくれる相手が欲しい。
今まで求めていたんだ、好敵手といえる存在を。

笑いがこみ上げた。
声を出して笑った。
その声に驚いたフェイトが自分を見ているが、そんなことも気にならなかった。

自分の思考を、二転三転させていって辿りついた結論。
アルベル自身、己の思考の甘さに呆れ、赤面した。
けれど、それはどこか気持ちよいものだった。
憎んで欲しい――そう思わずにいられない己の弱さ。
その弱さゆえに強くなれる可能性を秘めている自分。
無意識のうちに負けを認めていることには虫酸がはしるが、それよりも自分を熱くしてくれる存在があることに感謝さえしていた。

アーリグリフのあの凍える雪よりも冷たい視線。
それはモーゼル砂丘の照りつける太陽よりも、ウルザ溶岩洞の灼熱のマグマよりも、自分の心を熱くする。

「アルベル?一体どうしたんだ?」

さすがに不安になったのか、フェイトが声をかけてくる。
覗き込んでくる目は、今は全く冷たさを含んでいない。

「あまりに甘い考えにな」

フェイトが一瞬眉を顰める。
それでも、アルベルの心を掻き立てるものは現れない。

――いつしか、あの瞳が現れるのを待っていた。
それは快感ともいえる感情となって、アルベルの心に刻まれていた。

「勝手に夢見てろ、阿呆」

きょとんとしているフェイトを残し、アルベルは宿へ向かった。

すれ違いざまに彼に投げかけた言葉――それは、半分は自身に言った言葉だった。



ゲームの場面をそのまま文字に書き起こしただけの話なので、ある意味つまらないですよね。
なんだかアルベル別人だし。