text : STAR OCEAN Till the End of Time

[ 黄金色の理由 −学園パラレル vol.01− ]


「ったく!ったりィんだよ!!」

こんなことを言っているのは名門校にありながらはみ出しているアルベルくん。
今日もお気に入りの場所その3屋上の入口の屋根の上でお昼寝です。
春の陽射しはお昼寝には丁度よく、早速アルベルくんはうとうとしてきました。
と、そこへ、陽射しが遮られた気配が。
目を開けてみると、そこには生徒会長のフェイトくんがいました。
何を隠そう、アルベルくんはフェイトくんに頭が上がらないのです。
幼馴染で付き合いが長いというのはタテマエの話。
ホンネは誰にも、もちろんフェイトくんには血を吐いても言うことなどできません。

「ア・ル・ベ・ルー。何やってるんだよ」

「それはコッチのセリフだ。
 優等生の生徒会長サマが何でこんなとこにいるんだ。
 さっき俺が聞いたのは本鈴じゃなかったとでも言うのか?」

いつものようにそっけなく、アルベルくんは突き放します。
しかし、フェイトくんはこんなことで動じるはずがありません。
何より、アルベルくんがそのことをよく知っているのです。

「どうせ誰も文句なんて言ってこないんだよ。
 理事長とも面識あるとかでさ、教師も僕のこと腫れ物扱いさ。
 ま、それを知ってて利用できるところは利用してるんだけどさ」

そう言って、フェイトくんもアルベルくんのように横になります。
その動作を見守っていたアルベルくんでしたが、ついっと視線を空に戻します。

(な、何眺めてるんだ、俺は!こんなキャラじゃねぇだろ!!)

……なんてことを思っているのかもしれません。
しかし、ホンネを頑なまでに隠したがるアルベルくんです。
その本心は誰にもわかりません。
しばらく雲が形を変えていく様子を見ていたアルベルくんでしたが、ふとフェイトくんの視線に気付きます。
何故だか、先程からずっとこちらの方を見ているようですが…

「……なんだよ」

「いや?なんで金髪に染めてたのかな、と思って。綺麗な黒髪だったのにさ」

「フン……。周りがみんな黒じゃねぇか。他のヤツに言ってやればいいだろ」

「僕はアルベルの髪のことを言ってたんだけど?なんで金にしちゃったのさ」

「何でもいいだろ、別に」

「よくないよ。死活問題だ」

「……は?」

「いや、コッチの話。まぁ、金髪のアルベルもそれはそれでよかったけどさ」

「……………………………………………………」

「で、なんでなのさ」

「……別に、意味なんてねぇよ。気紛れでやっただけのことだ。
 だからこうして今、こんな中途半端な色になってるんじゃないか」

そう言って、アルベルくんはプリン状態になった自分の髪に触れます。
でも実は、この色の変化、結構気に入ってたりするんです。
鬱陶しくかかってくる前髪ではその変化を見てとることはできませんが。
するとふと、自分以外の手の感触を感じました。

「うん……僕は好きだな、こういうのも。なんていうか、アルベルらしいや」

「っ!」

フェイトくんの言葉に、思わず赤面してしまうアルベルくんです。
うざってェ!!と手を振り払い、顔を背けますが……
後ろでフェイトくんが静かに笑むのには気付きませんでした。
なんだかんだ言って、本心がバレバレなアルベルくん。
本心が誰にも知られていないのは、むしろフェイトくんの方なのかもしれません。
さて、フェイトくんの真意とは如何に?



だから?という感じですが。
即興で書いた作品なので、オチもヤマもありませんね。
"vol.01"となっているからといって、vol.02が出るとは限りません(笑)

周りが皆黒だから染めたって……ン年前の中学生か、アルベル。